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2010年10月5日火曜日

サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄

西尾 維新(講談社、2002/11/7)

戯言シリーズ、4作目の下巻。玖渚友の「チーム」時代のエピソードを織り交ぜながらの物語。引き続き舞台は、玖渚機関の研究施設の1つ、斜道卿壱郎研究所。

2日目、殺害された兎吊木垓輔が発見され、犯人として、友、「ぼく」、鈴無音々の3名は軟禁されてしまう。そこに石丸小唄が取引を持ち込んでくる。

このシリーズ、最後までちゃんと謎解きをしてくれないので、きっとこうなんだろうなー、とか思うにとどまっている。。

登場人物:
ぼく(戯言使い)
玖渚 友(青色のサヴァン)
鈴無 音々(みいこさんの親友、今回は保護者)
兎吊木 垓輔(害悪最近)
斜道 卿壱郎(堕落三昧)
大垣 志人(助手)
宇瀬 美幸(秘書)
神足 雛善(研究局員)
根尾 古新(研究局員)
三好 心視(研究局員で「ぼく」の恩師)
春日 井春日(研究局員)
哀川 潤(人類最強の請負人)
石丸 小唄(大泥棒)
零崎 愛識(侵入者)

2010年10月3日日曜日

クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子

西尾 維新(講談社、2002/8/6)

戯言シリーズ、3作目。戦闘訓練を施す「向こう側の世界」の学校、澄百合学園から哀川潤の知り合い、紫木一姫を救い出すのが今回の仕事。前作までは、関わった人がピンポイントで死んでいたが、今回は手当たり次第、大量に人が死んでいく。

哀川潤に強制的に今回の仕事の手伝いに駆り出され、お嬢様学校・澄百合学園へ連れてこられた「ぼく」。紫木一姫という女子生徒を連れ出すだけのはずだったが、そこで待ち受けていたのは学園中に指名手配されていた一姫を探している生徒達、戦闘の訓練を受けた戦いのエキスパートのお嬢様達だった。

登場人物:
ぼく(戯言使い)
哀川 潤(人類最強の請負人)
紫木 一姫(依頼人)
市井 遊馬(ジグザグ)
萩原 子荻(策師)
西条 玉藻(闇突)
檻神 ノア(澄百合学園、理事長)

2010年10月2日土曜日

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識

西尾 維新(講談社、2002/5/8)

戯言シリーズの2作目。このシリーズは当たり前に人が死んでいく、しかもサイクルが短い。

前作の舞台「鴉の濡れ羽島」から戻って2週間後、語り部「ぼく」が、学食でちょっと早めの昼食中にクラスメイトの葵井巫女子がやってくる。彼女の親友・江本智恵の誕生日パーティーに一緒に行ってほしいと頼まれ誘いを受ける。
同じ時期、世間を騒がせていた連続殺人犯・零崎人識と遭遇するが、あまりに似ている二人は惹かれ合う。

江本智恵の家に葵井巫女子と巫女子の友人・貴宮むいみ、宇佐美秋春を加えた4人とともに過ごすが、翌日警察が翌日、警察から「江本智恵が殺された」と知らされる。
江本智恵との会話で彼女に何かを感じた「ぼく」は、再び出会った零崎人識とともに、事件の究明を目指す。

登場人物:
ぼく(戯言使い)
零崎 人識(人間失格、殺人鬼)
貴宮 むいみ(クラスメイト、巫女子の友達)
宇佐 美秋春(クラスメイト、巫女子の友達)
江本 智恵(クラスメイト、巫女子の友達)
葵井 巫女子(「ぼく」に思いを寄せるクラスメイト)
浅野 みいこ(隣人、剣客)
鈴無 音々(みいこさんの親友)
佐々 沙咲(刑事)
斑鳩 数一(刑事)
玖渚 友(青色のサヴァン)
哀川 潤(人類最強の請負人)

2010年10月1日金曜日

猫物語(黒)(講談社BOX)

西尾 維新、VOFAN/イラスト(講談社、2009/7/29)

「化物語」の前日譚。第禁話 つばさファミリーを収録。
暦が吸血鬼になって一ヶ月後のゴールデンウイークに起こった羽川 翼のエピソード。
物語シリーズ最終回の次の編だが「第禁話」となっている、こういう付け方だと後で順番が解らなくなりそうだな。

で、物語シリーズのタイトルは、主人公の名前+怪異の名前と決まっているので、今回は、ファミリーが怪異と言うこと。これは現実味があってかえって怖い。
オチも、実際に怪異なのか人の中に住まう何かなのか、ってところを曖昧にしているので確信犯だな。

ところで、ページの半分ぐらいまで読み進まないと本題に入らないこのスタイルはどうなの。嫌いじゃないけど。

2010年9月26日日曜日

偽物語(下)(講談社BOX)

西尾 維新、VOFAN/イラスト(講談社、2009/6/11)

「化物語」の次の話の後編。最終話 つきひフェニックスを収録。
暦の妹、月火を巡るエピソード。
ここでは、影縫 余弦(かげぬい よづる)、斧乃木 余接(おののき よつぎ)の暴力陰陽師と式神コンビが登場する。

不死身の怪異を専門としている、と知った暦は、自分が狙われていると思うが、これは月火のエピソードなのよね。

妹想いの暦は忍とともに激しい戦いを繰り広げる。(忍はそうでもなかったみたいだけど)
また、ここでも貝木 泥舟(かいき でいしゅう)が絡み、忍野との関係も明らかになる。

最終話となっているが、この後も続くことになったとあとがきで書いている。

2010年9月19日日曜日

偽物語(上)(講談社BOX)

西尾 維新、VOFAN/イラスト(講談社、2008/9/2)

「化物語」の次の話。第六話 かれんビーを収録。今までストーリーには絡まなかった暦の妹の物語。
上巻は上の妹、中三の火憐を巡るエピソード。
このエピソードで悪役として登場する貝木泥舟がこの後もいろいろ関わってくる。
絵に描いたような「悪い奴」だが、この辺の使い方がうまいなぁ。

しかし、この兄弟喧嘩で普通に生きていられる事が既に常軌を逸している。ということがスルーされているな。

2010年9月18日土曜日

傷物語(講談社BOX)

西尾 維新、VOFAN/イラスト(講談社、2008/5/8)

アニメ「化物語」を観たとき、オープニングバックで流れていた映像が気になっていた。
後でこのアニメの前日譚があることを知り、読むことに。
これを読んでやっといろいろ話がつながった。特に、羽川と忍(この頃はまだキスショットだけど)については、これを読まないとちっとも解らない。
で、気になっていたオープニングバックの映像は、見事に傷物語の映像だった事もわかり満足。

忍野が言う「みんなが不幸になる方法ならある」という台詞は、現実世界での甘っちょろい考えを一蹴しているようで、耳が痛い。

2010年9月15日水曜日

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い

西尾 維新、take/イラスト(講談社、2002/2/7)

本作品は、第23回メフィスト賞を受賞して二十歳でデビューした際の作品。
全9作ある「戯言シリーズ」の1作目。

そもそも、西尾維新作品との出会いは、ジャンプで連載中の「めだかボックス」が最初だが何とも極端な世界観だなぁ、というのが最初の印象。途中でついて行けなくなって拾い読みしかしていなかったのだが、アニメ「化物語」を観た事をきっかけにのめり込むことになった。
で、なぜ戯れ言シリーズかと言えば、単純にデビュー作を読んでみたかったから。
言葉遊び、掛詞、ダジャレなど、軽妙な台詞回しが楽しい。その割、語られるテーマは答えの出にくい普遍的なことだったりするので、飽きることもない。

で、クビキリサイクルの話。
語り部の「ぼく」こといーちゃんが、「青色サヴァン」こと玖渚友の付き添いとして訪れた、赤神イリアが所有する孤島「鴉の濡れ羽島」で起こった密室殺人事件をめぐる話。

登場人物
--
赤神イリア:鴉の濡れ羽島の主人
班田玲:屋敷のメイド長
千賀あかり:三つ子メイド長女
千賀ひかり:三つ子メイド次女
千賀てる子:三つ子メイド三女

伊吹かなみ:天才・画家
佐代野弥生:天才・料理人
園山赤音:天才・七愚人
姫菜真姫:天才・占術師
玖渚友:天才・技術屋

逆木深夜:伊吹かなみの介添人
ぼく:語り部、玖渚友の付添人

哀川潤:人類最強の請負人

2010年9月11日土曜日

ユダヤ警官同盟(上・下)

マイケル シェイボン、黒原 敏行/訳(新潮社、2009/4/25)

「SFが読みたい、ベストSF2009、海外編第5位」、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞のSF賞三冠制覇の改変歴史SF。
2007年、アラスカ・シトカ特別区。殺人課刑事ランツマンが暮らす安ホテルでヤク中のユダヤ人、ラスカーが殺された。
プロの仕事と見たランツマンは枕元のチェス盤を頼りに捜査を開始する。
而して、ラスカーはヘスケル・シュピルマン、ヴェルボフ派のレベの一人息子だった。

2010年9月2日木曜日

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選

ロバート・F・ヤング他、中村 融(訳)ほか(東京創元社、2009/10/10)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選を読んだ。
SFだからこそあり得るロマンティックな物語9編を収録したアンソロジー。
どれもクラシックだが、読後にジワッと効いてくる感じがいい。

収録作品
チャリティのことづて(ウイリアム・M・リー / 安野 玲)
むかしをいまに(デーモンナイト / 朝倉 久志)
台詞指導(ジャック・フィニィ / 中村 融)
かえりみれば(ウィルマー・H・シラス / 中村 融・井上 知)
時のいたみ(バート・K・ファイラー / 中村 融)
時が新しかったころ(ロバート・F・ヤング / 市田 泉)
時の娘(チャールズ・L・ハーネス / 朝倉 久志)
出会いのとき巡りきて(C・L・ムーア / 安野 玲)
インキーに詫びる(R・M・グリーン・ジュニア / 中村 融)

2010年8月25日水曜日

ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて

海堂 尊(宝島社、2009/2/20)

「ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて」を読んだ。
田口・白鳥シリーズの番外編といったもの。本作はシリーズ第3弾『ジェネラル・ルージュの凱旋』の主人公、救命救急医・速水が「将軍」と呼ばれるきっかけとなった事件、15年前の若き日の速水を描いている。

また、海堂尊自身による作品解説(登場人物一覧&関係図&年表&用語解説&医療事典付き)や日々を綴ったエッセイを収録している。作品執筆時のBGMの話とかなかなか面白い。

2010年8月15日日曜日

セント・ゲリラの祝祭

海堂 尊(宝島社、2008/11/7)

「田口・白鳥シリーズ」の第4弾。
物語は舞台を桜宮市から厚生労働省に移し「医療事故調査委員会創設検討会」での政治的駆け引きを描く。

例のごとく白鳥からの指名によって厚労省の「医療関連死モデル事業」会議に、リスクマネジメント委員会委員長として出席することになった田口だが、これをきっかけに「医療事故調査委員会創設検討会」のメンバーを引き受ける羽目になる。
そこでは官僚、法律学者、法医学者などの教授達や「バチスタ・スキャンダル」の被害者の遺族などが委員として名を連ねる。

今回の目玉は、かつて第二医師会、スト実行を手引きしたとして注意人物とされている、彦根新吾。
なんと、彦根は田口の2年後輩でポン友。(そういえば本シリーズでは麻雀の打ち方で性格などを表現することが多い)
その彦根が、田口を訪ね桜宮にやってくる。
用件は「医療事故調査委員会創設検討会」にAI導入を提案し、参考人として彦根の相方、檜山シオンを招致すること。

次作へのフックと思える警察庁、斑鳩芳正の動きが気になる。

主な登場人物
田口 公平
高階 権太
島津 吾郎

加納 達也
斑鳩 芳正
北山 錠一郎

白鳥 圭輔
八神 直道
坂田 寛平

西郷 綱吉
田島 勇作
日野 真人
小倉 勇一
田辺 義明
高安 秀樹
浅井 貞吉
相川 太一
西川 洋子
田村 幸三

別宮 葉子

彦根 新吾
檜山 シオン
クリフ・エドガー・フォン・ヴォルフガンフ

2010年8月10日火曜日

螺鈿迷宮

海堂 尊(角川書店、2006/11/30)

イノセントゲリラを読み出したら、どうも途中が抜けている感じがして、「螺鈿迷宮」を先に読むことにした。
内容的には「チーム・バチスタの栄光」からはじまる、白鳥・田口シリーズなのだが、出版社が違うため時系列を見落としていたようだ。

舞台は、これまでにたびたび登場していた碧翠院桜宮病院。
ここに東城大学医学部付属病院で実習を終えた氷姫こと姫宮が潜入している。
この姫宮と絡み、話を可笑しくしているのは、東城大学医学部の学生・天馬大吉、この物語の語り部でもあり、後半明らかにされる重要な存在。
大吉は幼なじみの別宮洋子(現在は時風新報社会部主任補佐)に無理くり依頼され内部調査のためボランティアとして潜入する。
もちろん様々な仕込みは、白鳥調査官の差し金。バチスタの時のような強引さではなく、思慮、優しさなどが目立つ役柄になっている。

最後に巌雄が話す謎解きや、エピローグでの桜宮家の生き残りの書き方など、事実を淡々と解き明かす本シリーズよりもちょっとミステリーっぽい。説明が多いって気はするけど。
これで安心してイノセントゲリラを読める。

主な登場人物
桜宮巌雄
桜宮華緒
桜宮葵
桜宮すみれ
桜宮小百合

結城
立花茜
立花善次(高倉善次)

2010年7月28日水曜日

紫色のクオリア

うえお 久光(アスキーメディアワークス、2009/7/10)

SFが読みたい! 2010版、ベストSF2009国内編10位の作品。
帯のコピーに「人間が”ロボット”に見えるというー」とあり、いったいどんな話かと探りながら読み始めた。
あまりライトノベルは読んでいないが、これはなかなか面白かった。

中学生の視点で、量子力学、平行世界やシュレディンガーの猫を語ると中々解りやすく、また、日頃から「同じものを見ていても自分と他人では同じ物とは限らない」と思っているのだが、タイトルの”クオリア”が感覚質といわれる「頭の中で生まれる感じ」の事と本書で知った。

しかし、マナブはいったい何年生きたんだろう??

Contents
鞠井についてのエトセトラ
1/1,000,000,000のキス
If

主な登場人物
鞠井ゆかり:人間がロボットに見える、また、何でも修理できる。人でさえ。
波濤学(マナブ):殺人鬼に切断された左腕をゆかりに携帯電話で”修理”してもらったことで平行世界に通じるようになったゆかりの友達。
天条七美:ゆかりの幼なじみ、小さいときにジャングルジムで大けがしたが、ジャングルジムの部品で”修理”してもらった。
アリス・フォイル:JAUNTからゆかりを勧誘にきた天才少女

2010年7月20日火曜日

ジェネラル・ルージュの凱旋

海堂 尊(宝島社、2007/4/7)

田口&白鳥シリーズ第3弾。舞台はオレンジ救命救急センター。
「第2弾 ナイチンゲールの沈黙 」でがっかりしたので、ちょっと引き気味に読み出したが、これは面白い。当初の遣り取りが健在で引き込まれた。

話は、前作と同じ時期に起こっていたもう一つの物語で表裏の関係になる。
これを読むと、田口先生はこっちで忙しかったのね、と妙に納得。

不定愁訴外来の田口講師が委員長を務めるリスクマネジメント委員会に、救命救急センター部長の速水晃一が癒着しているという匿名の内部告発文書が投函される。
もてあました田口は、病院長、高階に相談するが、いつものごとくばばを引くことに。なんと田口を目の敵にする、エシックス・コミティ委員長の沼田と正面から戦うことになる。

第1作も言葉の遣り取りに魅了されたが、今回も同様。速水のアグレッシブフェーズが気持ちいい。
また、名前だけは最初から登場していた姫宮も、ドミノとあだ名されながらもポテンシャルの高さを見せる。早く碧翠院桜宮病院潜入編を読みたいなぁ。

最後の大惨事はできすぎだが、まぁいいかな。

2010年7月18日日曜日

ナイチンゲールの沈黙

海堂 尊(宝島社、2006/10/6)

出版社の紹介文から「第4回『このミス』大賞受賞作、25万部突破のベストセラー『チーム・バチスタの栄光』に続くメディカル・エンターテインメント第2弾!
バチスタ・スキャンダルから9ヵ月後、愚痴外来田口&ロジカル・モンスター白鳥コンビが帰ってきた!」ということで、期待して読んだ。
ただ、そうそう同じ病院内で事件性のある設定っていうのも厳しいだろうな、とは思っていたがなんとふつうに殺人事件が起こり、東城大学医学部付属病院の関係者が容疑者。

今回は、白鳥の学生時代の天敵、加納警視正。白銀の迦陵頻伽と呼ばれる伝説の歌手、水落冴子など、外部のキャラクターが増えている。
加えて、何となくいわくがありそうな桜宮病院の話などがちりばめられているが、どうも話が散漫で、テンポも悪く白鳥の切れも悪い。

前作が面白かっただけに残念感が強い。

ちなみに、迦陵頻伽(かりょうびんが)は上半身が人で、下半身が鳥の仏教における想像上の生物とのことだそう。

追記:
気を取り直して「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読み始めたが、これはナイチンゲールの沈黙と平行して起きていた、東城大学医学部付属病院でのもう一つの物語。
姫宮も登場し、ちょっと面白くなってきた。

2010年7月10日土曜日

ベガーズ・イン・スペイン(ハヤカワ文庫SF)

ナンシー クレス、翻訳/金子 司ほか(早川書房、2009/3/31)

本書は、早川書房編集部により日本で独自に編集された短編集。

収録作品は、
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ベガーズ・イン・スペイン(1991年、訳:金子 司)
21世紀初頭、遺伝子改変技術により睡眠を必要としない人類「無眠人」が現れる。
あらゆる点において優れる無眠人は、一般人「有眠人」から妬みを買うことになる。
ヒューゴ賞、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル誌読者賞、ローカス賞2位などを受賞した作品。遺伝子操作により眠らない人種「無眠人」が社会に現れることによって起こる社会現象を描いた作品。

眠る犬(1999年、訳:山岸 真)
ベガーズ・イン・スペインの後半の時期のサイドストーリー。
不法に無眠技術を施された犬によって、有眠人キャロル・アンが体験した物語。

戦争と芸術(2007年、訳:金子 司)
地球人とテル人との戦時下。
ポーター大尉は実の母、アンソン将軍からの指令により、テル人が人類から盗み出した大量の人工物(芸術品)の調査に向かう。
宇宙もので親子問題もの。ローカス賞7位。

密告者(1996年、訳:田中 一江)
全員が共有する同じ現実によって絆を深める信じる異星が舞台。
妹を殺害した罪で存在自体を認められない「非実現者」として扱われるユーリ・ペク・ベンガリン。罪から解放されるために「密告者」となって「現実と贖罪省」の指示に従って内定任務をこなす。
最後の任務、といわれた相手は地球人。ある実験と妹の死がつながる。
ネビュラ賞、スタージョン記念賞、アシモフ誌読者賞、ローカス賞8位受賞。


思い出に祈りを(1988年、訳:宮内 とも子)
脳の手術によって延命できるが、記憶はすべて無くなってしまう。
ショートショート。

ケイシーの帝国(1981年、訳:山田 順子)
銀河帝国を失った男、ジェリー・ケイシーの物語。
こういうのをメタSFというのでしょうか。

ダンシング・オン・エア(1993年、訳:田中 一江)
バレエ界を舞台にした、ナノテクSF。
能力強化され5才程度の知力を持つ犬、エンジェルの目線で物語がはじまる。
能力強化が当たり前になりつつあるこの時代、ダンサーも強化によって高い運動能力を発揮していたが、ニューヨーク・シティ・バレエ団はあくまで生身にこだわった。
アシモフ誌読者賞受賞、ヒューゴ賞2位、ローカス賞2位ネビュラ賞候補。

2010年7月6日火曜日

チーム・バチスタの栄光

海堂 尊(出版社: 宝島社、2006/01)

第4回『このミス』大賞受賞作品。なんだけど、珍しく読むきっかけは医療もののミステリーに興味があって。
しかし、おもしろいこれ。キャラクターもいいし、文章もおもしろい。

ストーリーは、東城大学医学部附属病院の不定愁訴外来医師、田口講師が桐生助教授率いる天才外科チーム「チーム・バチスタ」で起こった連続術中死の原因調査を高階病院長に依頼されるところからはじまる。

高階の依頼で厚生省から派遣された白鳥と共にチームメンバー7名に対して様々な調査が行われるが、それぞれのキャラクターがハッキリしていて文章の緩急も上手いので全く飽きない。

早速、田口・白鳥シリーズが読みたくなっている。楽しみ。

2010年6月29日火曜日

ハーモニー(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

伊藤 計劃(早川書房、2008/12)

2010年度、日本SF大賞を受けたハーモニーを読んだ。
2009年3月にガンで死去した筆者、伊藤計劃の遺作となった。
従って、受賞は作者が死去したあとだった。

「ハーモニー」は、従来の「政府」に代わって「生府」が健康を管理する社会を築く。
どんな思いで執筆していたかなど知る由もないが。

21世紀後半、「大災禍(ザ・メイルストロム)」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。「生府」が配布するメディケア「WatchMe」で全身を隈無く監視される時代。そんな中、御冷ミァハの「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」をきっかけに、霧慧トァン、零下堂キアンの3人の少女は餓死することを選択するがミァハ以外は生き残った。
と思っていたが。。

文章を、というMarkup Language形式で書いているところが面白い、これは人間以外の知性に対して伝えるための試作なのかも。

2010年6月21日月曜日

洋梨形の男

ジョージ・R・R・マーティン、中村 融/訳(奇想コレクション/河出書房新社、2009/9/15)

本書は SF が読みたい! 2010「ベストSF2009」で第3位。
SF 分野の受賞なのに、うたい文句はホラー短編集、というところに興味を持って読みだした。
はっきり言ってこの手の話はかなり好きな部類で久々に最近使っていなかった部分が活性した気がする。

収録作品は、以下の六編。
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■ モンキー療法
1984年度のローカス賞ノべレット部門受賞作品。
ダイエットをテーマにしたホラー作品。太った男、ケニー・ドーチェスターは、以前会員だった減量クラブで唯一、自分よりも体重のあったヘンリー・骨男・モロニーがガリガリにやせた上、リブステーキを4枚も平らげているところを目撃する。
減量の秘訣を訪ねると「モンキー療法だ」といい住所を教えてくれる。

■ 思い出のメロディ
弁護士デッドのマンションに、学生時代のルームメイト、メロディが訪ねてくる。
これまでにメロディには、様々な厄介ごとを持ち込まれた経緯があるためテッドは警戒するが、案の定、話はこじれメロディに出て行くようにきつく言い部屋を出る。数時間後帰宅すると、シャワールームからシャワーの音が。
最後まで手を抜かない怪談話。

■ 子供たちの肖像
1985年度のネビュラ賞ノべレット部門受賞作品。
小説家のリチャード・キャントリングの元に彼の小説に登場する人物の肖像画が送られてくる。送り主は娘のミッチェル。彼女が描いた絵は、夜になると絵から抜け出しキャントリングに話しかける。
この話は終わり方がビミョーで、夢なのか、超現実なのか、判断に困るところ。

■ 終業時間
バーテンのハンクは、カウンターに座る常連、バーニー・ディルがいつも話す夫婦生活の愚痴をウンザリしながら聞いていた。そこに怒り狂った常連のミルトンが店に現れる。よれよれピートをぶっ殺してやる、と叫びながら。
理由は、鷹に変身できるという触れ込みで売りつけられた護符が、ペテンだったと説明したが。

■ 洋梨形の男
1988年度ブラム・ストーカー賞ノベレット部門受賞作品。
ジェシーが越してきたアパートの地下にすむ洋梨形の男を巡る話。
これも話の終わり方が混沌としていて、判断に困るところ。

■ 成立しないヴァリエーション
ピーターは、学生時代のチェスグループのメンバー、ブルース・バニッシュの誘いを受け家を訪ねる。そこには当時の仲間E.C.とスティーブも呼ばれていた。今では、億万長者となったブルースは学生時代いじめられた復習をしようと考えていた。
タイムトラベルもの、この絶対終わらないブルースの執念はすごい。