2004年11月27日土曜日

あしたのロボット

瀬名 秀明(文芸春秋)

ロボットが身近なものになる近未来、どちらも永久ではない「人間とロボット」の共生の形を模索した5編+1を収録。
「せつない未来」を描いたロボット小説集ということだけど、介護ロボットのための介護されるロボット、とか出てくると主体であるはずの人間は何処に行くのか、と思わざるを得ない。

「ハル—たましいと身体」ロボットには魂はあるのか?
「夏のロボット—来るべき邂逅」夏休みにロボットにあった女の子は。
「見護るものたち—絶望と希望」タイで地雷撤去に従事するロボットと地雷探知犬、そしてタイの少女との不思議な交流。
「亜希への扉—こころの光陰」小学生が拾った旧式のヒューマノイドがきっかけで。
「アトムの子—夢みる装置」一度はアトムを諦めた科学者が、老年から再度アトム誕生を目指す。
「WASTELAND」人類がすでに滅亡してしまった世界でロボットだけが生き残り歴史を紡いでいる世界。

2004年11月22日月曜日

神様のパズル

機本 伸司(角川春樹事務所)

第三回小松左京賞受賞作。
16才の天才少女・穂瑞沙羅華と素粒子物理ゼミに参加する留年寸前の大学生・綿貫基一が「宇宙を作ることはできるのか?」という難問に挑む。
宇宙論や量子論について語っている一方で、田植えを通した人とのつながりみたいなところに向かっていき、あまりSFっぽさを感じない。
加えて穂瑞沙羅華の描かれ方ががいい感じでした。

2004年11月20日土曜日

神は沈黙せず

山本 弘(角川書店)

「と学会」の会長ということでも有名な山本弘のSF長編。
幼い頃に土砂崩れで両親を亡くした兄妹が主人公。
その事故が元で神を信じることができなくなったフリーライターの妹・優歌が、「サールの悪魔」という言葉を残して失踪した人工知能研究者の兄・和久良輔について報告するかたちで「神」の存在を語る。

さすが「と学会」会長。サイドストーリーがてんこ盛りで本編がどうなっていたか忘れてしまいそう。雑誌やテレビで言っていることを盲信している人に是非読んでみてもらいたい。

2004年11月6日土曜日

異端の数ゼロ−数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念

チャールズ・サイフェ(早川書房)

無限と対をなす「0」の話。
初めて知る、というか考えさせられることも多く面白い。