2005年4月22日金曜日

仮想空間計画

ジェイムズ・P・ホーガン(著)、大島 豊(翻訳)(創元SF文庫)

ホーガンの長編17作目。
極秘プロジェクトオズ計画の開発にあたる科学者ジョー・コリガンはある日、病院で目を覚ます。
テスト中の事故により記憶を失ったのだと医師アーノルドから聞かされる。
計画は途中で放棄され全てがちぐはぐな世界でバーテンとして12年を過ごす。
そこへ現れたリリィは、計画は現在も進行していて二人とも仮想空間内に閉じこめられていると言う。

仮想空間での記憶と現実の記憶が入り交じるなか、脱出の方法を探す。

2005年4月7日木曜日

ロートレック荘事件

筒井 康隆(新潮文庫)

銃声が二発! 夏の終わり、美しい洋館で惨劇が始まる。
「文学部唯野教授」が、前人未踏の言語トリックで読者に挑戦するメタ・ミステリー。
この作品は二度楽しめます。

すごく久しぶりに筒井康隆を読んだ。
一つめのトリックは読み始めてすぐに分かったのだが、二度目の楽しみがワカラナイ。。
やっぱり頭悪いのかなぁ。。。
ロートレックの絵のエピソードとかと関係あるのかな。

2005年4月5日火曜日

ねじの回転—FEBRUARY MOMENT

恩田 陸(集英社、2002/12)

時間遡航技術が開発された未来では、無秩序に過去を変えたための様々なひずみが生じていた。
この「人類の悲惨な運命を救うべく国連が歴史に介入する」という目的で歴史の記録が行われていた。
舞台は1936年2月26日の東京。二・二六事件をモチーフに歴史を修復の物語が進む。
時間をさかのぼり、過去で行ったことは未来にどう影響するか。
大昔から「あのときこうしていれば」とか考えていたので興味の尽きない話です。
物語は「人類を悲惨な運命から救うべく国連が歴史に介入する」という設定だが、この時点でうさん臭さを感じる。
登場人物も文中で語っているが、そんな技術を国がほっておく訳が無く必ず独占するだろと。。
また、栗原が語る時間遡航をして「歴史をやり直しているのではなく、これはただの歴史の続きなんだとは思わないか」というセリフには同感する。
結局何をしても規定の行動なのではないかと。

2005年4月2日土曜日

記憶汚染

林 譲治(ハヤカワ文庫JA)

2040年、ワーコンと呼ばれるウエアブルコンピュータにより個人認証が当たり前となった社会。奈良で遺跡発掘作業を行う弱小土建会社社長の北畑は、弥生時代の遺跡から謎の文字板を発見する。一方、痴呆症研究に従事する認知心理学者・秋山霧子は、人工知能の奇妙な挙動に困惑していた。
ネットワーク上に、学習機能があるコンピュータを置いておくとコンピュータ自らが必要な情報を集め擬似的に世界を構築してしまうというストーリーは、「人と記憶」ということに興味がある自分としては興味深い。
実際に体に機器を装着して感覚神経までコンピュータの影響下に置くことで現実と仮想の境界が無くなってしまうような気がする。そのときの自己の存在というのは何を意味するのか。