2006年1月22日日曜日

アブダラと空飛ぶ絨毯—空中の城〈2〉

ダイアナ・ウィン ジョーンズ、西村 醇子/翻訳(徳間書店、1997/8)

ハウルの動く城の原作「魔法使いハウルと火の悪魔」の姉妹編。
主人公アブダラが日ごと空想する世界が現実となる。
鍵を握るのは魔神(ジン)・ハスラエル。

2006年1月19日木曜日

犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

コニー・ウィリス、大森 望/翻訳(早川書房・海外SFノベルズ、2004/4)

SFが読みたい2005「ベストSF2004」海外部門の3位に選ばれたタイムトラベルラブコメディサスペンス。
ヒューゴ賞、ローカス賞をはじめドイツ、スペインなどで様々な賞を受賞している作品。
物語は、過去へのタイムトラベルは実現している近未来の2057年。
第二次大戦中、空襲で消失したコベントリー大聖堂の修復が行われている。
細部の確認するために多くのスタッフが、タイムマシン「ネット」で過去に送られ研究をしている。
そんな中、キンドルは過去から子猫を連れてきてしまう。
歴史保護のため、後生に影響を与える物品の移動は出来ないはずのネットをなぜのこが抜けられたのか、またその影響は。
主人公の、ネット・ヘンリーとキンドルが奔走する。

本作品は、ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人男(1889)」を讃えつつ、軽快な語り口で、飽きることなく読むことができる。
確かにSFに間違いないが、所謂SFファンでなくても無理なく楽しめる作品。
面白かった。

2006年1月8日日曜日

ファンキー・ジャズの勉強(植草甚一スクラップ・ブック)

植草 甚一(晶文社; 新装版版、2005/6)

ファンキーというキーワードで検索して巡り会った本。
著者は、欧米文学、ジャズ、映画の評論家で、70年代には、エッセイ『ぼくは散歩と雑学が好き』を刊行してサブカルチャーを普及させた植草甚一。
1959-61年に「ダウン・ビート」「スイング・ジャーナル」誌に掲載された文章をまとめたもの。
この本を読んで、改めて「ジャズ」を聞いたこともなかったことに気が付き、早速、アート・ブレイキー、ホレス・シルバー、MJQ、キャノンボール・アダレー等聞いた。

最終章の、1961年「ダウンビート」誌、8-9月号に掲載された「キャノンボール・アダレー・クインテットの内幕」からの引用が面白い。
キャノンボール・アダレー・クインテットのメンバーに編集者・ドン・デマイケルが、音楽を演奏する際に「信仰心」とか「遺伝的才能」がどれほど関係あるか、というテーマで座談会をやっている。
ジャズの本質に触れようとしたこの座談会は、当時のアメリカでは初めてだったらしいが時代を考えればうなずける。

デマイケルの問いに対する各メンバーの考え方は今読むと面白い。
ソウル・ミュージックは黒人音楽をさし、クール・ジャスは白人音楽をさすといったジム・クロウ観念による対立、とか、人種差別が当たり前の時代に、「人間はみんな人間だ。黒と白の区別なんか意味はない。スイングするかしないかだよ!!」という、サム・ジョーンズの言葉はイタイ。

植草氏の著書も初めて読んだが、なかなかいい。
折しも、晶文社創立45周年記念で「植草甚一スクラップ・ブック 全40巻[別巻1]」完全復刊!!とのこと、他のも読んでみたい。