植草 甚一(晶文社; 新装版版、2005/6)
ファンキーというキーワードで検索して巡り会った本。
著者は、欧米文学、ジャズ、映画の評論家で、70年代には、エッセイ『ぼくは散歩と雑学が好き』を刊行してサブカルチャーを普及させた植草甚一。
1959-61年に「ダウン・ビート」「スイング・ジャーナル」誌に掲載された文章をまとめたもの。
この本を読んで、改めて「ジャズ」を聞いたこともなかったことに気が付き、早速、アート・ブレイキー、ホレス・シルバー、MJQ、キャノンボール・アダレー等聞いた。
最終章の、1961年「ダウンビート」誌、8-9月号に掲載された「キャノンボール・アダレー・クインテットの内幕」からの引用が面白い。
キャノンボール・アダレー・クインテットのメンバーに編集者・ドン・デマイケルが、音楽を演奏する際に「信仰心」とか「遺伝的才能」がどれほど関係あるか、というテーマで座談会をやっている。
ジャズの本質に触れようとしたこの座談会は、当時のアメリカでは初めてだったらしいが時代を考えればうなずける。
デマイケルの問いに対する各メンバーの考え方は今読むと面白い。
ソウル・ミュージックは黒人音楽をさし、クール・ジャスは白人音楽をさすといったジム・クロウ観念による対立、とか、人種差別が当たり前の時代に、「人間はみんな人間だ。黒と白の区別なんか意味はない。スイングするかしないかだよ!!」という、サム・ジョーンズの言葉はイタイ。
植草氏の著書も初めて読んだが、なかなかいい。
折しも、晶文社創立45周年記念で「植草甚一スクラップ・ブック 全40巻[別巻1]」完全復刊!!とのこと、他のも読んでみたい。
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