2005年12月18日日曜日

物語に閉じこもる少年たち

セオドア・アイザック・ルービン、金原瑞人/訳、林香織/訳(ポプラ社、2002/10)

心を病む、デビッド、リザ、ジョ−ディ、リトル・ラルフィ、4人の10代の若者の物語。
アメリカ精神分析学研究所の所長として臨床に取り組む著者のルービンは、臨床で得た経験をそのまま記録するのではなく、小説というスタイルでまとめている。

精神病というと「特殊なビョーキ」という印象が一般的だ。
しかし、現実にはすべての人が多かれ少なかれ内包していることは間違いない。
皆自分を守るために自分の中に閉じこもり引きこもり他人を傷つける。
昨今の、弱いものをターゲットにした異常犯罪、自殺者の増加を見ても「病んでいる」ことはハッキリしている。

介護する人たちの努力により快方に向かうケースが物語で語られるが、その相手を思う熱意とずっと繰り返す忍耐力は大変なことだろう。
と、人ごとのようになってしまう自分が情けない。

デビッドとリザ
破瓜(はか)病と人格乖離の症状を併発しているリザと強迫症をはじめとするいくつかの精神症の症状が複合して存在するデビッド。
お互いに関心を持ち、お互いに快方に向かう。
患者間の交流を描いている。

ジョ−ディ
「ユラユラ」を片時も離さず自分の殻に閉じこもるジョ−ディ。
先生サリーとともに4年間を過ごし心を開いてゆく。
障害を持った子供と上手く接することが出来ない母親、ジョーディは母親を「知らない人」「女の人」と呼び、サリーと一緒にいない週末を「サリーじゃない日」という。

リトル・ラルフィと人形(人形)
緊張病と人格解離の症状を併発しているリトル・らルフィと呼ばれる少年と、その少年に感情移入し、悩みながら治療に当たるイザベラ。

肉親を突然失ったショックから「自己」と「人形(ひとがた)」に分裂した少年。
「自己」は自身の中深くに潜り身体との接続を絶っていまう。

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