2010年7月10日土曜日

ベガーズ・イン・スペイン(ハヤカワ文庫SF)

ナンシー クレス、翻訳/金子 司ほか(早川書房、2009/3/31)

本書は、早川書房編集部により日本で独自に編集された短編集。

収録作品は、
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ベガーズ・イン・スペイン(1991年、訳:金子 司)
21世紀初頭、遺伝子改変技術により睡眠を必要としない人類「無眠人」が現れる。
あらゆる点において優れる無眠人は、一般人「有眠人」から妬みを買うことになる。
ヒューゴ賞、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル誌読者賞、ローカス賞2位などを受賞した作品。遺伝子操作により眠らない人種「無眠人」が社会に現れることによって起こる社会現象を描いた作品。

眠る犬(1999年、訳:山岸 真)
ベガーズ・イン・スペインの後半の時期のサイドストーリー。
不法に無眠技術を施された犬によって、有眠人キャロル・アンが体験した物語。

戦争と芸術(2007年、訳:金子 司)
地球人とテル人との戦時下。
ポーター大尉は実の母、アンソン将軍からの指令により、テル人が人類から盗み出した大量の人工物(芸術品)の調査に向かう。
宇宙もので親子問題もの。ローカス賞7位。

密告者(1996年、訳:田中 一江)
全員が共有する同じ現実によって絆を深める信じる異星が舞台。
妹を殺害した罪で存在自体を認められない「非実現者」として扱われるユーリ・ペク・ベンガリン。罪から解放されるために「密告者」となって「現実と贖罪省」の指示に従って内定任務をこなす。
最後の任務、といわれた相手は地球人。ある実験と妹の死がつながる。
ネビュラ賞、スタージョン記念賞、アシモフ誌読者賞、ローカス賞8位受賞。


思い出に祈りを(1988年、訳:宮内 とも子)
脳の手術によって延命できるが、記憶はすべて無くなってしまう。
ショートショート。

ケイシーの帝国(1981年、訳:山田 順子)
銀河帝国を失った男、ジェリー・ケイシーの物語。
こういうのをメタSFというのでしょうか。

ダンシング・オン・エア(1993年、訳:田中 一江)
バレエ界を舞台にした、ナノテクSF。
能力強化され5才程度の知力を持つ犬、エンジェルの目線で物語がはじまる。
能力強化が当たり前になりつつあるこの時代、ダンサーも強化によって高い運動能力を発揮していたが、ニューヨーク・シティ・バレエ団はあくまで生身にこだわった。
アシモフ誌読者賞受賞、ヒューゴ賞2位、ローカス賞2位ネビュラ賞候補。

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