広瀬 正(集英社文庫、1982.5.25)
左右が逆の世界に迷い込んだ主人公・木崎浩一の物語。
ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の引用から始まる。
広瀬正の小説は、いつもサイドストーリーが充実している。
今回は、鏡の中の世界と現実世界はどう違うのかを、授業形式で解説したり、建造物がいかに完全な対称物にならないように注意しているかを、歴史的な建物を引き合いに出して説明するなど手抜きはない。
ルイス・キャロルが「鏡の国のアリス」を書く切っ掛けになった事などもしっかり盛り込まれている。
そういえば、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」は1871年に書かれたとの事、この前に読んだ「半身」の舞台と丁度重なり何とも不思議な気分。
さらに、当時四次元という観念が数学者の間でも話題となり、早速心霊研究者達は「心霊の居る世界は四次元の世界だ」などと言っていた、ともあり尚更。
他に、短編3作を収録。
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1. フォボスとディモス
火星から二人の尾崎健一が帰還する。
2. 遊覧バスは何を見た
1925年12月20日、バスに酔った妻を介護してもらった事から、堀川隆造と佐山達吉の縁が始まる。
3. おねえさんはあそこに
宇宙人の子供を育て、引き取りに来てもらうという竹取物語のような話し。
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