マイケル・シェイボン、訳:菊地 よしみ(早川書房)
"ピュリッツアー賞作家が描く、ちょっと変わった家族の絆。切なくて可笑しい短編集"
複雑な家庭環境にある人たちの人間関係や、幼少時代の特殊な体験をずっと引きずっている人たちの物語がつづられている。
ウイットとユーモアあふれるということで、本書では"切なくて可笑しい"といっているが、結構危ない人たちの話に思えてならない。
アメリカという国の話、と思ってはいられず、妙にリアルに読んでしまった。
「悩める狼男たち」
両親が離婚し、キャンベルトマトスープのにおいを発していると評判のポール・コヴェル。
隣人で同じクラスの狼男ティモシー・ストークスとの関係。
「家探し」
ダニエル・ダイアモンドと妻のクリスティ・カイト。
不動産屋ボブ・ホーグの案内で家を探す。
「狼男の息子」
思わぬ事故から妊娠したカーラ・グランズマン、夫リチャードとの出産までの心模様。
「グリーンの本」
少年期の行動から自らを幼児性愛者では、と疑う心理療法士のグリーン。分かれた前妻と一緒に暮らしている娘ジョスリンとともに、グリーンの母親の友人エミリー・クラインを見舞う。
「ミセス・ボックス」
盗んできた光学機器を詰め込んだステーションワゴンを泣きながら運転している、破産した検眼士、エディ・ズワング。
衝動的に通りかかった前妻の祖母ホーラス・ボックスを訪ねる。
「スパイク」
コーンの結婚生活、それは盲目的な希望と不運の短いお話。
「ハリス・フェトコの経歴」
フットボールチーム、レジャイナ・キングスのクォーターバック、ハリス・フェトコ。滞在先のホテルにフットボールの天才といわれた父親、ノーム・フェトコからのメッセージが届いていた。
「あれがわたしだった」
ワシントン州、チャップ島の酒場パッチのカウンター。
マイク・ヴィールと隣の女の物語。
「暗黒製造工場で」
著者の長編小説に登場する架空のホラー小説家、オーガスト・ヴァン・ソーンの作品という設定の怪奇小説。
0 件のコメント:
コメントを投稿