東野 圭吾(文藝春秋、2008/10/23)
ガリレオこと湯川が警察への協力を止めてからの物語。新たに内海薫が登場して、何となくテレビシリーズのイメージが持ちやすくなった。女性ということで差別されるのが嫌いな薫に対して、そのことを意識するあまり薫自身がその呪縛に陥っていることを暗に指摘する湯川の観察眼がいい。
「第一章 落下る」
一人住まいの女性がマンションから転落して死亡した。自殺か他殺か?
警視庁捜査一課の刑事・内海 薫は、被害者の恋人が犯人であると直観する。
自殺に見せるためのトリックを暴くため、草薙にたのみ湯川への紹介状をとりつけた薫は湯川のもとへ。
捜査協力を止めた湯川を再び現場へ向かわせる。
「第二章 操縦る」
脳梗塞の後遺症のため車椅子に頼って生活をおくる元大工学部助教授の友永幸正は、実の息子、邦宏と後妻の連れ子、奈美恵と共に複雑な家庭環境で生活している。邦宏とはうまくいって居らず口論が絶えない。
ある日、かつての教え子が彼の自宅に集うことになっていた日、ガラスが割れる音とともに離れが火事になり、邦宏の他殺体が発見される。
招待客の一人であった湯川は、不審に思い事件を調査する。
「第三章 密室る」
湯川の大学時代の友人、藤村が自身が経営するペンションで起きた事件の解明を依頼する。
湯川が当日の状況を詳しく調べるうちに意外な真相を突き止める。
「第四章 指標す」
老婦人が遺体で発見される。留守番中に強盗にあったのだが、仏壇に隠してあった金の地金だけが盗まれる。捜査上には地金の隠し場所を知っていた保険外交員の真瀬貴美子が容疑者として浮かぶが、同時にその娘、葉月の行動を監視していた薫は思わぬ光景を目にする。
書き下ろし作品。
「第五章 撹乱す」
人事異動のため研究部門から外されたことをきっかけに、由美を殺害してしまった高藤英治は、湯川に対する逆恨みから悪意を抱き「悪魔の手」と名乗り警視庁に挑戦状を送る。
英治は、過去に学会発表の際、湯川から質問されたことを根に持っていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿