鈴木 光司(新潮社、2001/04/ 1)
本作品は、1999年4月から2000年9月にかけて「小説新潮」に掲載された鈴木光司初の連載小説。
筆者あとがきを読むと、通常は脱稿するまで結末を決めずに行き当たりばったりで執筆するスタイル、だそうだが、今回は連載小説ということもあり「驚くべきことに半分ぐらい書き進んだところで、ラストが見えてきた」とのこと。
確かに半分ぐらいまでは、話がどこにゆくのかわからず登場人物への色づけが行われている感じで、読んでいても気持ちが滅入るエピソードが続く。
特に主人公の船越達哉は、体育会系の船乗りなのだがスポーツマン的なイメージとはかけ離れた印象がある。これも何事にも自信がもてず、優柔不断で自分勝手という印象を抱かせるエピソードのせいだろう。
これが、中盤を過ぎるとはっきり目標に向かって進み出すが、同時に先々の予想もついてしまった。
最初は、謎の金持ちだった岡崎も、物語の後半にゆくに従って様々な導きをもたらすキーへと進化していく。語る内容も興味深くつい今の自身に語られていることのように思えることがあった。
主な登場人物
主人公、船越達哉
達哉のかつての恋人、月子
達哉と月子の娘、陽子
船越のヨットの元オーナー、岡崎
岡崎の娘、稲森裕子
蒸発した船越の父、船越章一郎(水上開地)
章一郎の妻、水上都志子
章一郎と都志子の娘、水上朝代
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