2009年12月4日金曜日

ダブル・ジョーカー

柳 広司(角川書店、2009/8/25)

このミステリーがすごい!2010年版の2位にランクインした本作。
「ジョーカー・ゲーム」の第二弾、ということなんだが、そっちは読んでいない。
久しぶりに日本のスパイものを読んだが、面白い、あっという間に読んでしまった。

大戦突入前、諜報戦を冷徹に勝ち抜いてゆく結城中佐率いるD機関(実在した陸軍中野学校がモデルとか)の活躍を描く短編集。

「ダブル・ジョーカー」
D機関のライバルとして風機関が登場する。「ダブルジョーカーは要らない」とは、同じ組織にスペアはいらないということ。D機関の「死ぬな。殺すな。とらわれるな。」に対して「躊躇なく殺せ。潔く死ね。」を徹底的に叩き込まれた風機関がD機関を追い落としにかかる。
「蠅の王」
北支前線の野戦病院を訪れた慰問団。
モスクワのスパイ脇坂軍医は、慰問団の中にスパイ・ハンター「笑わぬ男」が紛れ込んでいるとの情報を得る。
「仏印作戦」
軍属として仏印に派遣された高林は、暗号電文の打電を任されるが、ある夜、何者かに襲われる。
「棺」
ベルリン郊外で起きた列車事故で死亡した日本人がスパイではないかとヴォルフ大佐は疑うが証拠が出てこない。
結城中佐の知られざる過去が明らかにされる一編。
「ブラックバード」
「D機関」で養成されたスパイ仲根は、ロサンゼルスに住み、アメリカ人の妻を持つ。
バードウォッチング趣味を装う彼の前に立ちはだかる壁。
以上5編を収録。

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