野田 努(河出書房新社、2003/10/22)
本書は筆者が過去の雑誌、CDの解説などに書いた文章をまとめたもの。
第一章がレイヴ・カルチャー、第二章がデトロイト・テクノ周辺、
第三章がヒップ・ホップ周辺という構成。
ファンクという言葉につられて読み出した。
はっきり言ってレイブもテクノもヒップホップに付いてほとんどなにも知らないので最初は何の話だかちっとも分からず。。
勢いで読み進むうちに、第二章デトロイト・テクノ編。
アンダーグラウンド・レジスタンスのアルバム「インターステラー・フージティブス」が縁で始まるマッド・マイクの案内で見るデトロイト・テクノ。
この話は実に面白かった、モータウンの地、デトロイト。
デトロイト・テクノはP・ファンクやスティービーワンダーと同じメッセージを持っているという。
アズ・ワンことカーク・ディジョージオは、もしダンスカルチャーが二つの方向性に分かれているのなら、マーケット的に金になるロック化するダンスミュージックとマーケット的には期待できないアンダーグラウンドなジャズ/ソウルへと向かう方向だろう。
デトロイト・テクノは、後者の方向で音楽を感情表現とし常にソウルの問題を念頭に置いている。別名テクノ・ソウルとも呼ばれているそうな。
また、デリック・メイがヨーロッパ調の4っ打ちのテクノを聞いていたとき、その単調さに憤りを覚えながら「テクノっていうのはソウルなんだよ!」と怒鳴ったことがあるという逸話も印象的だった。
サン・ラやP・ファンクから続く、コズミック・テクノの解説で、「それは宇宙へのロマンスなどではない。あらゆる歴史的厳粛性から逃れた場所への強烈な夢想が彼らを宇宙に向かわせる」と。
そして、デトロイトの路上に描かれた「革命とは希望なき者の希望である」という痛さが音を作っている。
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