菅 浩江 (ハヤカワ文庫)
日本推理作家協会賞受賞作。地球と月の重力均衡点、ラグランジュ3に浮かんでいる博物館惑星「アフロディーテ」を舞台にした9つの物語。
「アフロディーテ」は、音楽・舞台担当の「ミューズ」、絵画・工芸の「アテナ」、動植物の「デメテル」という三つの専門部署からなり、専用のデータベースを直接頭脳に接続した学芸員が、分析鑑定・分類収納保存を行っている。主人公の田代孝弘は「アフロディーテ」に搬入された物品を専門部署に割り振り、各部署間の調停役を果たす「アポロン」に勤務する学芸員。毎回無理難題を押しつけられる。
「美」をロジカルに追求する田代に対し、妻・美和子の「きれい」と感じる心、という対比によって描かれている。
大量の情報に翻弄され、本質が見えなくなっている現代を写しているよう。
あまりSFっぽくなく自然に読める。ここが菅浩江さんのいいとこかな。
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