2010年3月14日日曜日

完全なる証明

マーシャ・ガッセン、青木 薫/翻訳(文藝春秋、2009/11/12)

今世紀中の解決は到底無理と言われた「ポアンカレ予想」の証明。
その世紀の難問を解いたグリーシャ・ペレルマンの評伝。

クレイ研究所が100万ドルの懸賞をかけた7つの難題の一つ「ポアンカレ予想」の証明を2002年にインターネット上に公開され、これが正しいと証明されるが、ペレルマンは数学界からも世間からもすべての連絡をたって消えた。
同時代に旧ソ連で数学のエリート教育をうけた著者マーシャ・ガッセンが、関係者のインタビューからこの謎をとく。

前半部分は、旧ロシアの数学教育事情を振り返りながら、ペレルマンとペレルマンに関わった人たちの逸話で進行するが、ちょっと冗長で読むのに時間がかかった。但し、この経緯を知った上で後半を読み進めると話が解りやすくスムーズ。

文中に難解な方程式が羅列しているようなものではなく、「数学者というのはこういう事を考えているのか!」と言う事に触れられ興味深かった。